遺留分に関するQ&A
- Q3-01
- 遺留分とはなんですか?
- A
遺留分とは、被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に保障されていて、被相続人による自由な処分(生前贈与・遺贈)に制限が加えられている部分のことをいいます。
- Q3-02
- 遺留分の権利を有する相続人は誰ですか?
- A
被相続人の配偶者、子、直系尊属が遺留分の権利を有しています。また、子の代襲相続人も、被代襲者である子と同じ遺留分を有しています。
一方、兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。
遺留分の割合ですが、直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1,それ以外の場合は2分の1となります(ただし、昭和56年1月1日以降に発生した相続について)。
- Q3-03
- どのような場合に遺留分が侵害されるのですか?
- A
被相続人がある者に対して生前贈与、遺贈等をした結果、相続人が現実に受ける相続利益が法定の遺留分額に満たない状態になってしまった場合に遺留分が侵害されていることになります。
- Q3-04
- 遺留分減殺請求権はいつまでに権利を行使すればいいのですか?
- A
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知った時から1年で時効により消滅してしまいます。また、相続開始時から10年を経過すると除斥期間により消滅してしまいます。
- Q3-05
- どのように遺留分減殺請求権を行使すればいいのですか?
- A
遺留分権利者は、減殺の対象となる遺贈・贈与の受遺者・受贈者等に対して遺留分減殺請求権を行使するという意思表示を行えば足り、必ずしも裁判を起こす必要はありません。つまり、遺留分減殺請求権を行使する旨を記した内容証明郵便を送ることでも正式な意思表示となります。
- Q3-06
- 遺留分が侵害されているのかはどのように算定されますか?
- A
遺留分算定の基礎となる財産額は、相続開始時に被相続人が有していた財産の価額に、被相続人が特別受益として贈与した財産の価額を加え、その中から被相続人が残した債務(相続債務)を全額控除することにより算定します。
各人の遺留分額は、遺留分算定の基礎となる財産額に遺留分率と法定相続分率を掛け合わせます。
実際に相続により得られた財産額が遺留分額に満たない場合、遺留分が侵害されたといえます。
例えば、甲乙丙の3名(全て子)が相続人で、相続財産が1億円、乙が2000万円の特別受益を受けており、遺言により甲が全ての相続財産を相続した場合、
1億円+2000万円=1億2000万円
甲乙丙の遺留分は
1億2000万円×1/2(遺留分率)×1/3(法定相続分率 相続人は子3名のため)=2000万円
1億円を相続した甲の遺留分侵害はなし。
2000万円の特別受益を受けていた乙の遺留分侵害もなし。
全く相続によって財産を得ていない丙の遺留分侵害額は2000万円となります。
- Q3-07
- 遺留分減殺請求権を行使されてすべての不動産の持分移転を請求されていますが、金銭で解決することはできますか?
- A
不動産のような特定物の受贈者・受遺者(遺留分減殺請求の相手方)は、遺留分権利者に対して、現物を返還する(不動産の持分移転をする)のが原則です。しかし、受贈者・受遺者は、実際に贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償することによって、現物を返還する義務を免れることができます。
- Q3-08
- 遺留分減殺請求権を実現するための訴訟はどの裁判所に訴える必要がありますか?
- A
遺留分権利者は、相続開始時における被相続人の普通裁判籍所在地の地方裁判所又は簡易裁判所に訴訟を提起する必要があります。